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終活コラム

コラム 『終活あれこれ』

 

〈 NO.9 〉 お彼岸は日本独自の仏教文化

目黒御廟お彼岸

秋の「お彼岸」2021年は9月20 日(月)~26 日(日)です。お墓まいりに行くという方も多いでしょう。
太陰暦では季節の変わり目は「節気(せっき)」で表されました。
今も「二十四節気(にじゅうしせっき)」や「雑節(ざっせつ)」が生活のなかに生きており、お彼岸は雑節に入っています。

彼岸(ひがん)は此岸(しがん)と対の言葉で、向こう岸とこちら側のことですが、暦に記されるお彼岸は「さとりの境地」を指し、それに比べるのが煩悩に苦しむ人の世です。
お彼岸の期間に行われる法要や法会は彼岸会(ひがんえ)といいます。

始まりは平安時代初期と伝わりますから、最澄や空海が開宗した頃から続いているわけです。全国の国分寺・国分尼寺で『金剛般若経(こんごうはんにゃきょう)』の読誦(どくじゅ)が命じられたと記録があるそうです。
やがて、どこのお寺でも彼岸のお勤めをするようになり、人びとの間にお寺で法話に耳を傾け、ご先祖を想ってお墓参りをする風習が定着しました。
お彼岸の初日を「入り」、7日目を「明け」と言い、真ん中の日を「お中日(おちゅうにち)」といいます。お中日は春分・秋分の日と決まっています。

なぜ、お彼岸は春分・秋分の日なのでしょうか。

それは、真東から日が昇り真西に沈む日だからです。
一日の始まりが日の出、終わりが日の入りであることを人生にたとえて、西の彼方に人生の終焉を感じたのでしょうか。浄土真宗では彼岸には「阿弥陀如来の極楽浄土」があるとされており、この考えも広く知られています。

春分・秋分の日は、気象学で太陽が春分点・秋分点を通る時刻を含む1 日と定義されています。
その日時は、地球の公転が365 日と6 時間弱なので約4 年で1 日分ズレていきます。そこで、国立天文台が算出した春分・秋分の日に合わせて、毎年お彼岸のお中日が決まります。
春分・秋分の日が国民の祝日になったのは、おそらく明治時代に皇族方の法要が行われる皇霊祭が祭日に定められていた名残りと考えられますが、そのおかげで、全国統一にお彼岸の期間には必ず休日と日曜日が入ります。

また、春分・秋分の日は昼夜が同じ時間になるとされ、実際は少し異なるのですが、秋分を境に暑さが薄れ、春分からは寒さが和らいでいくので「暑さ寒さも彼岸まで」という慣用句も生まれました。
お彼岸は過ごしやすい季節の到来を告げているのです。

同じ餅菓子を、春は牡丹餅、秋は御萩と名を変える風流もうれしいもの。
彼岸会に参加したり、お墓やお仏壇の前でご先祖や亡くなった人を偲びたいときです。

〈 NO.8 〉 「両親も犬たちも、やがては私たちも」

エンディングノート

目黒御廟のご利用者にお話をお伺いする企画です。
今回は、目黒御廟の建築設計をなさった建築家の北村雄史さんにお話をお伺いしました。

■黒川紀章建築都市設計事務所 北村雄史さん (聞き手:終活コラム編集部)


----北川雄史先生は目黒御廟の納骨堂の建築設計をなさった建築家でいらっしゃって、完成してほどなく、納骨堂を購入なさいました。設計なさるときから利用をお考えだったのですか。

いや、わが家にはその時はすでに亡くなった父が眠っている墓地がありました。
父は60歳から墓地探しを始め、東京・あきる野市の西多摩霊園に1区画購入しました。
当時の私は、黒川紀章都市計画研究所で働いていて、ブルガリアのソフィアでホテルの設計を担当し、竣工後帰国したら、「買った」と。
それからわずか2年後の1981年に、父は67歳で突然亡くなってしまいました。
西多摩霊園は、クルマなら中央高速を使って自宅から1時間ほどでしたので、母を連れてちょくちょく墓参りに行きました。

----お父さまはずいぶん早くお亡くなりに。

目黒御廟が完成したとき、私はもう父の亡くなった年齢を超えていました。で、「待てよ」と。私が亡くなった後、西多摩霊園のお墓はどうなるだろう。
二人の子どもがいますが、長男は福岡に行きっぱなしだし、娘はアメリカ在住で孫も生まれています。彼らには、墓地の草刈りなどする時間はないだろう、と。
目黒御廟のことを話したところ「目黒なら便利だから、行きやすい」と妻も子どもたちも賛成してくれました。
お墓の移動はとてもスムーズでした。わけを話してお願いしたら、すぐに対応してくださって、費用も思ったよりはかかりませんでした。
目黒御廟は宗旨・宗派を問わないので、北川家は日蓮宗ですが問題なく納骨できました。

----北川先生は、ペットのお骨も一緒に入れる〈鳳凰〉の区画を購入なさっていますね。

ええ、わが家は昔から犬を飼っていて、亡くなると調布市の深大寺動物霊園で火葬して納骨堂に預かってもらっていました。
父を目黒御廟の納骨堂に納めてしばらく経ってから、5匹の骨壺を引き取って、納骨堂にお願いしました。
人のお骨を収蔵する骨壷と、ペットの骨壷は別ですが、同じ厨子に納められるところがいいと思います。

-----昨年お母さまが亡くなられて。

母は93歳の長寿を全うしました。
今、納骨堂の参拝室で見られる写真は、父の顔、次に母の顔、その後に犬たちが次々に出てくるようにしてもらっています。
命日はもちろんですが、ぶらりとお参りに立ち寄ることもあります。母の三回忌には應慶寺のご住職にお経をあげていただきました。私は宗旨にはあまりこだわりがないので、いただいたご縁を有難く思っています。
ICカード1枚持っていれば、受付・参拝ができるのがいいですよね。長男にも1枚渡してあります。

----安心の備えもなさったし、北川先生の活動はますます好調ですね。

〈 NO.7 〉対話が生まれるエンディングノート

エンディングノート

エンディングノートは、終活の計画と実践、および確定事項を記録するものです。
なじみのない和製英語ですが、「終末期に備える覚書」といえば必要性がはっきりします。
終活を進めるなかで、整理したこと、決めたことを書き込んでいくノートです。
分類項目ごとに、実行したこと、決定事項を書き込みます。

終活は、自分自身の考えや希望を確認しながら、できれば家族や親しい人と話し合って進めたいものです。その経過をメモして残すことで、家族の間の対話の基礎ができます。
自分の望む終末期の過ごし方や葬儀・法事や納骨、財産処理などについて、伝言ではなく、家族との合意事項として文字にしておけば、先にいって、医療・介護チームや弁護士・司法書士などが加わる場合があっても、自分も家族もしっかり意見を言えます。

注意したいのは、エンディングノートには、貴重品の保管場所やパスワードなど秘密の情報は書かないこと。別のところに保管します。相続のような法的事項も、別に遺言書を準備します。

「自分の気持ちを伝える」のもエンディングノートの役割です。

家族や親しい人との思い出、生活を共にしたペットとのエピソード。
自分の生涯を振り返る自分史や、家系の歴史。
面と向かって語るのは照れくさくても、愛する人たちに贈る言葉を記します。

さて、エンディングノートはどんな形のものがよいでしょうか。
ノート派とファイル派に分かれるようです。

一冊のノート(帳面)に自分の手で書き込むと、考えが深まり、記憶にも残ります。
手元に置いていつでも開けるので、自分の分身のように寄り添ってくれます。
市販のエンディングノートは種類が豊富ですが、ふつうのノートに項目ごとにインデックスを付ける手づくりもよいものです。

項目別にクリアファイルか大判封筒を数枚用意して、関係書類のコピ―や、資料、要点のメモを保存する方法も便利です。
とりあえずファイルに入れて、時間があるときに、確定事項を箇条書きに整理します。

パソコンでの作成は、修正・追加も保管もらくです。
ただし、上書きしてしまうと、経過をメモしておくノートと違い、家族と話し合った記録を共有できなくなるので気を付けましょう。
ある程度まとまったら、印刷して紙でも保存するのがおすすめです。

ノートでもファイルでも、自分が使いやすい形を選び、まずは、既に決まっていること、たとえばわが家の宗旨、墓地の所在地、かかりつけ医や親戚の連絡先などから書き込み開始です。

〈 NO.6 〉安心と元気をくれる終活

終活

しゅうかつ。
就活は就職するための活動の略ですが、終活は、文字通り「人生の終わりに向かって活動する」という意味の新しい言葉で、2012年新語・流行語大賞のトップテンに入り、定着しました。
終活には、二つの側面があります。
自分自身の希望を実現するため。
周囲の人が困らないようにするため。
そして、この二つを準備することによって、安心して元気な日々が過ごせるようになる。
それが、終活です。

大きく分けて4つの活動に分類できます。
〇自分自身の今後
体が不自由になる前にやりたいこと、看取りをしてもらう時が来たら頼みたいこと、最期の迎え方などについて、自分の希望を明確にします。言葉で話し合うだけではなく、ノートに書き出して、家族や医療・介護チームと共有できるようにします。

〇財産の整理
財産を書き出して、価値と相続税額を検討します。遺族のために、生前にできる相続対策を行います。遺産配分を考える場合は、法律上の効力がある遺言書を作成します。

〇身辺の整理
いわゆる「断捨離」です。家財、思い出の品、衣類など、長年大切にしてきたものを思い切って処分することによって、人生の最終段階に新しいライフスタイルの日々が始まります。
少額の残金を残したままの預金通帳などの整理も忘れずに。
年賀状のお付き合いや、サークル活動を減らすといった、人間関係のシンプル化も身辺整理の一つです。

〇永遠のゴール
自分の葬儀と納骨を生前に考えておくことは、重要な終活です。
葬儀の形式は、伝統的な宗教儀式、参会者とのお別れ会、家族葬など、多様な選択肢がありますから、家族と話し合っておきます。

納骨は、葬儀以上に多様化しています。昔のように先祖代々のお墓ではなく、昨今は自分たち夫婦だけのお墓を持ちたいと考える人が増え、さらに墓石は置かずに樹木葬にする、あるいは納骨堂や合同葬を選ぶ人も多くなりました。
お墓を子どもたちが引き継ぐ負担をかけたくないからと、自分一人や夫婦二人しか入らない形で最期をまっとうすると考える人も多いのです。

以上、終活を大まかに整理してみました。全部いっぺんに取り掛かるのではなく、このなかで自分が力を入れたい部分から始めてもよいでしょう。
あるいは、まず永遠の場所を決めて、それをきっかけに、終活の一歩を踏み出すのも、実行しやすい方法です。

終活は、動けるうちに始めたいもの。開始は「思い立ったが吉日」です。
やり始めれば、終活が楽しくなります。まだまだ先のことでも「備えあれば憂いなし」なのです。

〈 NO.5 〉お墓のお引越し

お墓の引越し

前のコラムでは墓じまいについて触れましたが、続いて今回は改葬のお話。
つまりお墓の引越しです。

改葬件数は国の統計で約12.5万件(令和元年度)。10年でおよそ1.7倍に増加しているそうです。一口に引越しといっても墓石も含め丸ごと引っ越す、納められている遺骨だけ人数分全部移す、特定の故人分の遺骨だけ移す、あるいは遺骨の一部を分骨するなどいろいろですが、大半の改葬は遺骨だけの移送だそうです。古いお墓は撤去し更地にして管理者に返します。
では、改葬は具体的にどんな段取りで進めれば良いのでしょうか。

まずは、墓じまいのコラムでも記した通り家族・親族間、寺院墓地の場合はお寺とのコンセンサスを得ておくことは言うまでもありません。
その上で新たなお墓となる改葬先を決めておきましょう。そして改葬先の管理者(霊園事務所、寺院等)から「永代使用許可証」(又はそれに類する受入証明)をもらっておきます。
次に改葬元の市区町村に「改葬許可申請書」を提出します。申請用紙は自治体によってはホームページからダウンロードできたり、遠方であれば大抵は郵送もしてくれます。申請書には埋蔵証明として所定欄に改葬元管理者の署名捺印をもらいます。又、多くの市区町村では、前述の永代使用許可証のコピーの添付や原本の提示を申請時に求められる場合があります。こうした手続きを経て「改葬許可証」が発行され、ようやく遺骨を取出すことができるのです。
因みに複数の遺骨を移す場合は、人数分の書類が必要となるので要注意。分骨の場合は改葬元管理者から「分骨証明書」をもらっておけば役所への届けは不要です。

遺骨の取出しやお墓の撤去・整地作業は、墓地の管理者を通じて業者(主には石材店)に依頼するのが一般的。 業者さんによっては事務手続きの代行もしてくれます。
遺骨を取出す際には、仏式であれば閉眼供養(宗派によっては言い方が異なる)を行います。外墓地から改葬する遺骨を室内施設に収蔵する場合、多くの場合には洗骨処理を施します。その後、改葬先に納骨し、今度は開眼供養を行います。
これら一連の流れで概ね1〜2ヶ月を想定しておくと良いでしょう。

さて気になるのは費用。
あくまで参考としてですが、遺骨の取出し3〜5万円、広さにもよりますがお墓の撤去・整地費に30〜50万円、お寺へのお布施(離檀料・供養料)として10〜20万円といったところ。これに新たなお墓の購入費が加わります。遠距離の場合は交通費も馬鹿になりませんね。

引越しには、それなりに手間と気配りとお金がかかるもの。
しっかりとした準備でのぞみたいものです。

〈 NO.4 〉墓じまいの心得

墓じまいの心得

少子高齢化が進む日本で今問題になっているのが、空き家です。
玄関を蔦が覆い庭木も伸び放題。いかにも住む人が絶えて久しい家を見かけることが身近にも増えてきたような…。
平成30年の総務省統計では全国でおよそ850万戸、空き家率は実に13.6%にものぼるとか。

そして「お墓」も守る人のいないお墓が年々増えているそうです。その要因としては、やはり少子高齢化やそれに伴う地方の過疎化が大きいものと思われます。そんな守りきれなくなったお墓はどうすれば良いのか。

近年よく耳にするようになったのが「墓じまい」です。
墓を「終う」、どこか断捨離の延長のようなイメージがありますが、お墓を処分するだけではなく、そこに納められていた遺骨の引越し先もセットで考えなくてはなりません。

例えば、遠方の実家でお墓を継いでいた両親も亡くなったので、自分が住んでいる近くの納骨堂にお墓を移す、一人っ子同士の夫婦がそれぞれの実家のお墓をどちらかひとつにまとめる(二世帯墓)ことにしたなど、まずは墓じまいする遺骨の行く先を定めることが先決です。

ひとつには遺骨を自分が管理しやすい場所に移すという選択。
前出の例のように古いお墓は終って、身近なエリアに新たなお墓を確保し、そこに遺骨を移すというケースです。
お墓の管理自体がもう無理なのでやめにしたいということであれば、合祀墓に遺骨を移して、永代供養にしてもらうという方法もあります。墓じまいというと、代々何代も続いてきた古いお墓を閉じるという感じを受けますが、実際には2、3世代くらい、大体50年くらい前のお墓が多いとか。何れにせよ、墓じまいとはご先祖を無縁仏としないよう、自分の生活スタイルに合わせてお墓との関わりを新たにする、ということではないでしょうか。

お終いにスムーズな墓じまいの為の鉄則を。
それは事前に親族間・家族間での相談を十分にしておくこと。トラブルの多くは親族間・家族間での意思疎通の不足が原因となっています。
なぜ墓じまいをするのか、そのあと遺骨はどうしたいのか、費用負担も含め理解を得ておきましょう。

また、寺院墓地の場合は墓じまいするお寺にも、早めにその意思を伝えておくことをおすすめします。
その際には今までの供養に対する感謝を伝えるとともに、御礼を用意しておくと良いでしょう。

事前のコンセンサスをしっかり整えておくこと。
それこそが上手に墓をしまう近道です。

〈 NO.3 〉多様化するお墓スタイル

ペットとの上手な暮らし方

高齢化社会と言われて久しい昨今、自分もそろそろ終活をと意識する方も多いと思います。
となると気になるのがお墓のこと。残された家族に負担をかけぬよう、あるいは夫婦で自分達らしいお墓をと、生前購入も当たり前になってきています。今は一口にお墓といってもそのスタイルはさまざま。従来型の外墓地タイプから納骨堂や樹木葬など、思いに沿ったスタイルを選べるようになってきたことは、時代の流れというものでしょうか。
そんな多様化したお墓スタイルの特徴を比べてみましょう。

外墓地には寺院墓地、民間の霊園墓地、自治体管理の公営墓地などがあります。寺院墓地では檀家加入が求められたり宗派が限られるケース、公営墓地では生前購入ができない場合もあり、十分な事前確認が必要です。
納骨堂は参拝に便利な立地が多く、特に都市部でニーズが高まっています。タイプもいろいろとあり、ロッカー式や仏壇式はマンションのようにズラリと並んだスペースに遺骨を安置するタイプ、自動搬送式はバックヤードに納められた遺骨が、参拝ブースに自動搬送されるハイテクなシステムです。
自動搬送式はお参りに際して天候を気にせず、掃除などの手入れも不要、大抵の施設でお香やお花の用意があり手ぶらで参拝できること、さらに比較的費用が抑えられ、改葬もしやすいなどの良さがある反面、屋外のお墓の方が開放感があると感じる方もいるようです。

「死して自然に還りたい」という思いを反映した自然葬といえば、樹木葬や散骨葬です。

樹木葬には、例えば一本の桜の周りに遺骨を埋葬していくメインツリー型や、埋葬した付近にハナミズキや百日紅など低木を植樹する植樹型などがあります。エコロジカルな樹木葬ですが、アクセスに不便な場所が多いこと、施設によっては遺骨が後で取り出せず改葬できない場合もある点などが注意点です。

また、骨壷を家で安置する手元供養という方法もあります。遺骨の一部をペンダントなどにして身につけ、手元供養する方も増えているようです。暫くは自宅で安置し、ゆくゆくはお墓にという方にも適したスタイルでしょう。

こうして挙げただけでも、お墓のバリエーションは実に多彩で選択に迷うばかり。
ただ、忘れてならないのは、お墓とは生きている者が故人を偲び、語りかける大切な場であるということ。自分だけで決め込まず、ご夫婦でよく話し合い、お子さんの理解も得て選ぶことを心がけたいものです。

〈 NO.2 〉シニア世代とシニア犬の上手な暮らし方

ペットとの上手な暮らし方

〜今こそ愛を込めて「もう子供扱いはしない」〜

かつての憧れの人。足のきれいだったアイドル歌手がテレビの通販番組に出て「わ〜、これ欲し〜い」と叫んでいます。目元の涼しいクールな映画スターがクイズ番組でボケ味たっぷりで笑わせています。歴史の移ろいを嫌がおうにも目にする今日この頃です。
「あ〜あ、歳はとりたくないもんだ〜」
自分のことは棚に上げてつぶやけば、足元に横たわる年老いた愛犬。つい、ため息がもれます。
「あの頃のおまえはどこへ行ったんだ」注:くれぐれも配偶者へ向けて口にしないように…

ペットショップで一目惚れし、懐に抱いて連れ帰った生後間もない子犬。悲しげな瞳に魅入られ、泣きながら施設から連れ帰った保護犬。その後、すっかり家族の一員となり、かけがえのない存在となった愛犬たち。そんな愛犬との永遠の甘い生活を疑わずにいたいけれど、老いは霊長類すべての宿命。避けて通れません。
犬の年齢はドッグイヤーと表現します。犬の平均寿命を調べてみると、14.29歳(全国犬猫飼育実験調査2014〜17年集計)だそうで、つまり生れた直後から飼い初めた場合、約15年間が犬と暮らす年数ということになります。人間の平均寿命に重ねてみると、彼らは4〜5倍のスピードで歳をとっていることになります。愛犬と自分の年齢を重ね、互いが同年代に達していることに気付くシニア世代。さらにこの先、愛犬が自分の年齢を超えることに気づきハッとします。

「最近、耳が遠くなってさ〜」
「疲れやすいし、歯もボロボロ…」
「トイレが近いのが困るよな〜」

呼べど叫べど、知らんふり。クッションの上で一日中寝ている愛犬。それに憤慨したところで、犬は言葉を発しません。しかし思いやれば、感じることのできる老いへの共感。ともに生きてきた年月です。

さて、残り時間をともにどう過ごすか。大切なことは相手を思いやること。これにつきます。老犬の世話は在宅介護に似ているといわれます。「面倒をみる」「ケアをする」はすべて一方通行。見返りはありません。出会いから今日まで、どれほどの多幸感を頂戴してきたことか。愛した相手、お世話になった方への恩返しです。さて、ともに始まる終活タイム。
「こいつがいなくなったら寂しくなるな〜」
そんな思いは胸の奥底にしまい、おどけたポーズで記念写真。素敵なラストシーンへの準備を心がけましょう。自然と湧いてくる愛犬への感謝の言葉。

「ありがとうグットライフ」

〈 NO.1 〉今どきのお墓事情「海外のお墓」

終活

世界には様々な葬儀スタイルがあります。日本人が当然と考える火葬も、世界には土葬をメインとする国が数多くあります。キリスト教やイスラム教などでは死者の復活を教義とするため基本は土葬です。水葬や風葬、鳥葬といった、墓を必要としない葬儀も存在します。

タイやミャンマーは国中に寺院が点在。道行く托鉢の僧侶は日常風景ですが、これらの国に個人の墓は存在しません。火葬後、遺骨は海や川へ流されるのです。チベットやインドの一部で行なわれているのが鳥葬。輪廻転生を信じるチベット仏教。岩の上に亡骸を横たえ、それをハゲワシがついばむという方式。

インドではゾロアスター教の信者が行いますが、近年ハゲワシの数が減少し、食べ残しが問題に、という話も。墓や霊園も多種多様です。

日本人の墓は先祖供養を目的とし、複数の人間が入りますが、世界では概ね個人のもの。
つまり、一人一墓です。

そのため時に個性豊かな墓石が登場。故人の趣味や思い出を反映した、車やバイク、ペット、サッカーボール、はては自身の等身大像まで墓石にします。墓地や霊園の雰囲気もその国独自のもの。
米国の墓地はスケールの大きさに驚かされます。緑の芝生、噴水、美しい建築物と彫刻。戦没者慰霊墓地には真っ白い十字架が果てしなく立ち並んでいます。
パリにあるモンパルナス墓地やモンマルトル墓地には、サルトルやスタンダールといった文豪が、ウィーン中央墓地には、ベートーベンやシューベルトなどの音楽家が眠っています。観光客がひっきりなしに足を運ぶ、まるで観光地のような存在です。
韓国の田舎でたまに目にするのは土を丸く盛ったかわいらしい饅頭型の墓。
メキシコの墓は花のデコレーションでラテン系の明るさにあふれています。
中国やマレーシアなど、中華圏で見かけるのが引き出しを重ねたようなマンションタイプ。ルーマニアにはポップなイラストが刻まれた、アート作品のようなカラフルな墓があります。

死に向かって生きている人間。儚いからこそ大切な命。
世界中の人々が思い思いにお墓と向き合っています。

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