目黒のおさんぽ「名建築」編
3月、春ですね。今回のお散歩は、昭和の名建築といわれる「旧公衆衛生院」を保存・改修し、2018年に誕生した「港区立郷土歴史館」へ出かけてみましょう。
行き方は、JR目黒駅から目黒通りを白金方面へまっすぐ歩いて15分ほど。ゆっくりと歩くともう少し時間がかかります。または、地下鉄「白金台駅」2番出口か、バス停留所「白金台駅前」で降りると徒歩1分で着きます。
目黒通りからちょっと入ったところに、こんなに壮大な空間が広がっていました。建物の左右対称の安定感のせいでしょうか、こうして眺めていると気持ちがほっと落ち着いてくるようです。
旧公衆衛生院は、昭和13(1938)年、米国ロックフェラー財団の支援と寄付のもと設立され、公衆衛生技術者の教育訓練および国民の保健衛生に関する調査研究を目的とした、大学のような施設でした。公衆衛生に携わる多くの人が、この美しい建物を行き来し、さまざまな思いを抱いて学んでいたのですね。
建物を設計した内田祥三(よしかず)は、東京大学建築学科の教授で、東京大学本郷キャンパス内の安田講堂をはじめ、東京大学の各校舎の設計を担当した建築家として知られています。なるほど、ここも東京大学に似ています。 全体が「コの字型」の建物で中央部に塔屋が立ち、櫛で引っかいたような細い溝の模様のスクラッチタイルで覆われた外壁、エントランスの連続したアーチ。こうした特徴をもつ内田祥三の建築は「内田ゴシック」と呼ばれていました。
ここ旧公衆衛生院は建築そのものが展示物となっていて、訪れた人にその魅力が伝わるよう、各所に解説プレートが設置されています。館内にある案内リーフレットにも、おすすめの見学スポットが紹介されているので参考にしてはいかがでしょうか。疲れたらエレベーターもあるので安心してくださいね。
建物正面のアーチをくぐって入ったところが、2階「中央ホール」になります。2層吹き抜け構造で広々とした空間に、目の前の階段を中心にした左右対称の昇り階段。石材が多数使われた床や壁、そして電灯や装飾。ほぼ建設当初の姿が保存されています。まるで映画のワンシーンのようで、うっとりしてしまいます。
3階にある「旧院長室」です。高級材だったというベニヤ材がふんだんに使用され、床は職人技の光る寄木細工になっていて、当時の職人技術の高さを見ることができます。※この部屋は入り口から先は入室不可になっています。
4階の「旧講堂」です。全340席、備え付けの机椅子が設置された階段状の講堂です。椅子のクッションと天井板以外は、建設当初の部材がそのまま残されています。
テーマごとに分かれた「常設展示室」は、3階と4階にあります。こちらは観覧料/大人300円を総合案内で購入になります(常設展示室は撮影不可)。
テーマⅠのエリア(3階)で、まず目に入るのが幅15mにもなる伊皿子貝塚貝層断面図。ここでは「海とひとのダイナミズム」と題して、東京湾と深くかかわり続けている港区の歴史を、環境、貝塚、内湾漁業の3つのテーマをとおして紹介しています。
テーマⅡのエリア(3階)では、「都市と文化のひろがり」と題して、近世都市・江戸の城南に位置する港区の様子を、まちづくり、武家地・寺社地・町人地と、そこにかかわる人々の姿をとおして紹介しています。江戸全体を描いた江戸図の中でも最古の絵図「寛永江戸全図」や、明暦の大火によって大半が焼失する前の江戸の様子を描いた「新添江戸之図(明暦江戸絵図)」など、さまざまな資料が展示されています。
テーマⅢのエリア(4階)では、「ひとの移動とくらし」と題して、多くの人々が行き来し、暮らし続けている港区の近現代の歴史を、国際化、教育、交通・運輸、生業・産業、災害・戦争という5つの視点から紹介しています。
2階の特別展示室では、特別展・企画展が順次開催されています。詳しい情報はホームページで確認をしてみてください。
建設当初から食堂として活用されていた1階にある「旧食堂」は、カフェ「VEGETABLE LIFE」としてオープンしています。新鮮野菜をたっぷり使ったランチボックスやスープを楽しめます。見学のあとは、木のぬくもりが心地良い店内で休憩して行きませんか。
VEGETABLE LIFE 電話:03-6450-2153
この記事がアップされる頃は、もう前庭から見える桜が咲いているかもしれませんね。
名建築を見て、そしてさまざまな歴史に触れる、そんな素晴らしい春の日をお過ごしください。
【港区立郷土歴史館】
https://www.minato-rekishi.com/
〈場所〉東京都港区白金台4-6-2 ゆかしの杜内
〈電話〉03-6450-2107
■アクセス
東京メトロ南北線・都営地下鉄三田線「白金台」駅下車 2番出口徒歩1分
都営バス・東急バス「白金台駅前」停留所下車徒歩1分
駐車場はありません。
■開館時間
午前9時〜午後5時(土曜日のみ午後8時まで)
※入館受付は閉館の30分前まで
■休館日
毎月第3木曜日(祝日等の場合は前日の水曜日)
年末年始(12月29日〜1月3日)
特別整理期間






