人生100年時代の長寿祝い
時々、会話のなかで年齢の話になり、“ハテ? 自分はいま何歳だったかな?”と、一瞬とまどうことがありますが、皆さまいかがですか。
日本人の平均寿命は伸び続け、100歳の高齢者の方もめずらしくない時代になりました。
つまり、「人生100年時代」なのです。これは100年生きることを前提とした人生設計の必要性を説いた本『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)100年時代の人生戦略(東洋経済新報社)』で提唱された言葉で、多くの人の心を揺さぶりました。
終活世代の私たちにとって、大変気になるテーマですよね。
そこで、「人生100年時代」をより幸せに生きていくために、古くから継承されてきた長寿祝いの大切さを見直してみてはいかがでしょう。
長寿を祝う
子どもの頃、「親戚のおじいちゃんの還暦祝いだよ」と言われて写真を見ると、赤いちゃんちゃんこを身につけた姿は、いかにも“おじいちゃん “。
ところが今はどうでしょう。テレビやSNSなどで見る映像は、「この人が還暦?」と信じられないくらい若々しい姿や雰囲気にびっくりすることがあります。
歴史を振り返ると長寿のお祝いは、中国の儒教思想や長寿を尊ぶ考え方の影響を受け、奈良時代の貴族社会で始まりました。当時は40歳から10年ごとに節目を祝っていたといわれます。現在は平均寿命が伸びたことや医療の進歩によって、60歳の還暦から祝うのが一般的ですね。
長寿祝の由来とテーマカラー
長寿祝いには、それぞれに由来や意味、縁起を意識した色があります。
●還暦(かんれき)満60歳(数え61歳)、赤色
60年で生まれ年の干支に一巡して戻ることから、「暦」が「還る」の「還暦」。第二の人生の始まりともいわれます。
還暦祝いの色は「赤」。もう一度赤ちゃんに戻って生まれ変わるという意味や、魔除けの意味もあります。
●古稀(こき)70歳、紫色
唐時代の詩人、杜甫の詩「人生七十年古来稀なり」に由来する「古稀」。当時、70歳まで生きるのは、とても稀なことでした。
古稀祝いの色は「紫」。高貴な色とされる紫は、長寿への敬意が込められています。
●喜寿(きじゅ)77歳、紫色または金色
「喜」の漢字は草書体で「㐂」と書き、これが「七十七」に見えることから名付けられました。
喜寿祝いの色は「紫」や「金色」。どちらも高貴な色とされ、尊敬や健康への願いが込められています。喜寿では紫色のちゃんちゃんこや頭巾を贈る習慣もあります。
●傘寿(さんじゅ)80歳、黄色または紫色
「傘」の漢字の略字「仐」は「八十」にも見えること、漢字の「八」は末広がりで縁起が良いことから名付けられました。
傘寿祝いの色は「黄色」や「紫」。黄色は明るい太陽の光をイメージし、昔から縁起の良い色とされています。紫は高貴な色とされ、長寿への敬意が込められています。
●米寿(べいじゅ)88歳、黄色または金茶色
「米」の漢字を分解すると「八」「十」「八」になることから名付けられました。漢字の「八」は末広がりで縁起が良く、八が2つ重なる88歳は大変めでたいと考えられています。米寿祝いの色は「黄色」や「金茶色」。どちらも光り輝く太陽や実り豊かな稲穂の色を象徴しています。
●卒寿(そつじゅ)90歳、紫色
「卒」の漢字の略字「卆」は「九十」に見えることから名付けられました。
卒寿祝いの色「紫」は、高貴な色とされ、長寿への敬意が込められています。
●白寿(はくじゅ)99歳、白
100を表す「百」の字から一を引くと「白」になることから由来しています。
白寿祝いの色「白」は、神聖さを象徴し、人生の大いなる節目を迎えた尊さを表しています。
●百寿(ひゃくじゅ、ももじゅ)100歳、金色または桃色
100歳のお祝いは、「百」の数字が由来。100年が一世紀であることから「紀寿(きじゅ)」とも呼ばれます。
百寿祝いの色は「金色」や「桃色」。100歳という素晴らしい節目を迎え、輝かしい人生を讃える色として光り輝く「金色」。「桃色」は幸福や温かさ、愛情を表します。
還暦から百寿のお祝いまで、簡単ですが解説をさせていただきました。誰もが幸せに健康で長生きを願う、人生の節目となる長寿祝い。それぞれの名称と意味や由来、テーマカラーを知っていると、より喜びを実感できるような気がします。
卒寿の90歳まで絵を描き続けた葛飾北斎
江戸時代の平均寿命は諸説ありますが、だいたい30代から40代というなかで、浮世絵で有名なあの葛飾北斎は、なんと90歳まで生きました。
赤い色の富士山を描いた「凱風快晴」、大きな波で有名な「神奈川沖浪裏」で知られる「冨嶽三十六景」シリーズは、北斎が70代の時の作品集というのですから驚きです。
この世を去る時に言い残したといわれる言葉、「あと十年、いや五年あれば、本物の絵描きになれるのに」から、自分にはまだまだとてつもない可能性があるのだという強い信念と情熱を感じます。この言葉に触発される人は多いのではないでしょうか。
人生100年時代の今、私たちは葛飾北斎から学ぶことが大いにあるかもしれませんね。






