目黒のおさんぽ
「森林浴でリラックス、自然教育園へ出かけましょう」
今回のおさんぽは、大都会に残された巨大な森「国立科学博物館附属自然教育園」です。
ここは旧武蔵野の自然を保つ貴重な緑地として、国の「天然記念物及び史跡」に指定されています。
自然とふれあうとリラックスできる上、気づくとたくさん歩いていたり、大きな木を見あげたり足もとの植物をしゃがんで見たり、いつのまにか運動量がふえて良いこと尽くし。
気候も快適ないまの時季、ぜひお出かけしてみませんか。
目黒御廟のあるJR目黒駅の東口から、目黒通りを白金方面へまっすぐ歩いて10分ほど。
鬱蒼とした大きな森を背景に「国立科学博物館附属自然教育園(以下、自然教育園と表記)」の正門があります。取材に訪れたときは正門前の桜が満開、桜吹雪が舞ってとても美しい景色でした。
遥かなる古の頃へ思いを馳せながら
まずは自然教育園になるまでの長い道のりを振り返ってみましょう。
園内から縄文中期の土器や貝塚が発見され、その時代から人々がこの地で暮らしていたと考えられています。
平安時代には水田の開墾、広々とした原野では染料の栽培が行われていたようです。
室町時代になると豪族白金長者がこの地に館を構え、江戸時代は高松藩主松平頼重の下屋敷となり、当時の庭園のなごりと思われる黒松「物語の松」や「おろちの松」の老木(現在は台風の被害によって根ごと倒れたおろちの松ですが、マツボックリから種がとれ、種を鉢にまくと翌年の春には芽が出てきたそうです)が見られます。
明治時代は海軍・陸軍の火薬庫となり、大正時代には宮内省帝室林野局の所管となり白金御料地と呼ばれました。
一般公開されたのは、国の「天然記念物及び史跡」に指定された1949年のこと。それまでは一般の人々が立ち入ることができなかったため、こうして豊かな自然が残されました。気の遠くなるほどの長い道のりを経て、今は私たちがおさんぽできるのですね。
都会のど真ん中、森に息づく多様な生命
約20万平方メートルもの敷地の中で、一般公開されているのは全体の約15%。公開エリアは自然の生態系を守りながら、里山らしい自然を維持するために必要最小限の植生管理が行われています。残り85%の非公開エリアは、人の手を入れず、都市の中で自然がどのように変化をしていくのか調査とともに、森林の変遷が見守られています。
全敷地のこれまでの調査では1,473種の植物、約2,130種の昆虫、約130種の鳥類が記録されているそうです。
とくにカメラ愛好家や自然観察の好きな方にはたまらない魅力、時間を忘れて夢中になってしまいそうですね。
安心しておさんぽができます
園内は、山や野の道ばたに生育する野草が見られる「路傍植物園」、池や湿地に生育する動植物が観察できる「水生植物園」、武蔵野の草原や樹林が残る「武蔵野植物園」があります。
これら3つのエリアをつなぐ散策路は約1.7キロ。植物には種名表示板や解説板が設置され、観察しながらのんびり歩くと個人差はありますが1時間から2時間弱くらいでしょうか。
疲れたらベンチや東屋が各所にあるので安心ですよ。また、園内は舗装されていませんし、階段箇所もあるのでスニーカーなどの歩きやすい靴がおすすめです。手荷物を軽くして身軽に歩きたい方は教育管理棟にコインロッカーがあります。バリアフリー対応として、身体障害者補助犬(盲導犬・介助犬・聴導犬)を伴う入園が可能です。車いすの貸出をしているので希望の場合は受付窓口へ。
正門から教育管理棟で受付後、最初に出会う路傍植物園エリア。小さな白い「にりんそう」の花が可憐でとても可愛かったです。
スダジイの巨木など、ビューポイントが表示されているので見逃すことなく楽しめます。
こうした大きな木を眺めていると、昔からのいろいろな出来事をすべて見守っていたのかと思い、感慨深い気持ちになります。
こちらは水生植物園エリア。春の日差しが水面に反射し幻想的な風景でした。
すれ違った高齢の男性が「昨日からずっと同じところに蛇がいますよ」と教えてくれたのですが、風景に溶け込んでいてなかなか見つからず「どこですか?」「ほら、あの木の上ですよ」なんて話していたら、通りかかった人たちも集まって楽しいひとときを過ごしました。
おさんぽって、こういう交流が自然にできるから気持ちも明るくなって良いですね。
ぐるりと一周すると森林浴とウォーキング効果のおかげで大変リフレッシュできました。これからの季節は日焼けなどに気をつけて、水分補給も意識しながら歩いてみましょう。
国立科学博物館附属自然教育園
https://ins.kahaku.go.jp
お出かけの際には「今週の見どころ情報」や「月ごとの見どころ情報」を確認しておくと、より楽しめそうです。
東京都港区白金台5-21-5 TEL 03-3441-7176(代表)
◎開園時間
9月1日〜4月30日:9時〜16時30分(入園は16時まで)
5月1日〜8月31日:9時〜17時(入園は16時まで)
◎休園日
毎週月曜日(ただし、祝日・休日の場合は開園し、火曜日が休園)
祝日の翌日(ただし、土・日の場合は開園)
年末年始(12月28日〜1月4日)
◎入園料
一般・大学生 320円(現金のみ)
高校生以下・65歳以上・障害者の方と介護者1名まで無料(要証明書)

