最近のお葬式事情
「お葬式の話はなかなか言い出せなくて、いざ親が亡くなった時に困った」という声が少なくありません。もちろん親だけではなく、誰にでも訪れるその時。そこで今回は、お葬式について基本的なお話と今どきのお葬式事情について考えてみたいと思います。
お葬式は「通夜」があり、「葬儀」「告別式」の順でおこなわれますが、それぞれの意味を知っていますか?
通夜は、葬儀・告別式の前夜に遺族や親族、友人や知人が集まり、故人と最後の夜を過ごす儀式です。古くは夜通しでおこなわれていたことから、通夜と呼ばれるようになりました。
僧侶が読経をおこない、遺族をはじめ弔問客が焼香をします。焼香には、焼香をする人の穢れを祓い、故人に香りを捧げ、迷わず極楽浄土へ行くことができますようにという願いが込められています。焼香のあと、別室に弔問客を招いて、お酒や料理を振る舞う「通夜振る舞い」は、故人と一緒に最後の食事をするという意味があります。
葬儀は故人の冥福を祈り、葬るための儀式で通夜の翌日におこなわれます。通夜と同じように僧侶が読経をおこない、遺族らが焼香をします。
告別式は葬儀にひき続いておこなわれ、故人に最後のお別れを告げる儀式です。弔問客が焼香をしたあと、棺に祭壇の供花を納める別れ花、棺に釘を打つまねをする釘打ちの儀、そして出棺、火葬への流れになります。
時代をさかのぼると、昭和の頃のお葬式は自宅でおこなう家庭が多くありました。近所の人たちが台所に立って食事やお茶の手伝いをし、通夜の晩は夜通しロウソクやお線香の火をあげ、故人のそばには必ず人が居ました。
翌日の告別式にも、故人や遺族とつながりのある人たちが集まり、庭に入りきらない花環が道路にまで並ぶなか、住み慣れた家から故人を送り出しました。なつかしい昭和の風景のひとつかもしれません。
※お葬式のやり方は、仏教や神道、キリスト教など宗派のほか、土地柄などによっても異なります。
コロナ禍をきっかけに増えた「家族葬」
葬儀には「一般葬」「家族葬」「直葬・火葬式」「一日葬」が、主な選択肢としてあがります。「一般葬」は、通夜・葬儀・告別式のお葬式で、参列者を限定することなく幅広い人に参列してもらう日本の伝統的な形式のお葬式のこと。
「家族葬」は、明確な定義がなく、主に、通夜・葬儀・告別式のお葬式で、家族や親族、故人と親しかった人のみでおこなうお葬式のこと。
「直葬・火葬式」は、宗教儀式(読経、焼香)のない、納棺、出棺、火葬のみのお別れになりますが、家族から希望がある場合は、宗教者が立ち合う場合があります。
「一日葬」は、通夜がなく、納棺から葬儀、告別式、出棺、火葬までの儀式を1日でおこなうお葬式のことをいいますが、納棺を前日におこなうこともあります。
なかでも最近のお葬式は、家族や親族を中心に小規模でおこなう「家族葬」が増えているといいます。
その理由として、昔にくらべ、核家族化や少子化の影響で親族の人数が少なくなってきたこと。
また、高齢化に伴い、故人の友人や知人の参列がむずかしくなったことなどが考えられます。こうした背景のなか、さらに家族葬へと拍車をかけたのが、2020年から蔓延した新型コロナウイルスです。感染拡大の防止をするために、たくさんの人が集まる一般葬から、必然的に簡素化・縮小化をせざるを得なくなった結果、家族葬が増加しました。
「家族葬」のメリットとデメリット
家族葬のメリットは、家族や親族、故人と親しかった人のみでおこなわれるので、アットホームな雰囲気で故人とお別れの時間を過ごせることです。また、参列者への対応が少なくなるので、遺族の精神的な疲れも軽減できます。
反対にデメリットとして考えられるのは、参列者の選別が悩ましいこと、後から不幸を知った人が自宅に焼香に訪れたり、時には家族葬の理解を得られず「お葬式に参列できなかった」など、苦言を言われる可能性もあります。また、参列者が少ないということは、いただくお香典が少なくなってしまうため、場合によっては費用負担が大きくなることも考えられます。
アフターコロナの現在、家族葬が定着していくのか、それともコロナ前の一般葬に戻っていくのか、そこには断言はできませんが、何よりも大切なのはただひとつ。
故人を見送る温かい気持ち、これに尽きるのではないでしょうか。
世界のお葬式〜韓国編
韓国ドラマのお葬式のシーンで、女性が髪に小さな白いリボンをつけている姿を見たことはありませんか。
韓国では家族が亡くなると、男性は日本と同じように洋装の喪服、女性は韓服の喪服を着ます。そして男性は腕章を付けるのですが、女性の韓服に腕章はつけられないため、髪に白い小さなリボンをつけます。地域や家庭によって期間の違いはありますが、喪が明けるまでは普段着になっても、そのリボンを髪につけて過ごすのだそうです。
また、お葬式で身をよじるようにして泣く「泣き女」をご存知ですか。韓国では職業として、遺族の悲しみを代弁するようにお葬式で号泣をする仕事があるのです。率先して泣いて、他の参列者の悲しみを引き出してあげます。これにはちゃんと意味があって、参列者の涙は故人が成仏するための助けになり、悪霊を祓うと考えられているからです。
国が変われば慣習も変わりますが、故人を思う気持ちは世界中、皆同じなのですね。






